薬で病気は治らない…その②

  • 2018年01月5日

 前回、眼科で出来る治療は限られているというお話をしました。
 このことについて、薬剤師の視点からもう少し深く掘り下げてみましょう。

 私が勤めていた調剤薬局の側の眼科さんは「まあよく人が集まるなぁ」というほど毎日とても混んでいます。
 出される薬は、毎日ほぼ同じです。

 ・菌を退治する抗生物質の目薬
 ・目の痒みや炎症を抑えてくれる目薬
 ・目の乾きを防ぐ目薬や涙を補ってくれる目薬
 ・眼圧を下げて、緑内障を防いでくれる目薬

 大きく分けるとこの4つしかありません。
 後は効いているんだかどうだか分からない、白内障を予防するなんて目薬もありますが“効果の承認取り消し”なんて言われているものです。

 その4種類の中でも色々細かく分類されます。抗生物質の目薬も色々な種類があるわけです。

 ですが…
 基本的にどれを使っても大して差はありません。

 みなさん、びっくりしませんか?
 たったの4種類しかないのです。
 
 何が言いたいかというと、たったの4種類の病気しか対応する薬がないのです。
 その4種類の病気とは…

 ・目に菌が入ってしまう病気 → いわゆるものもらいですね
 ・目の乾燥や渇き、ドライアイ、涙の不足
 ・目の痛みや痒み、炎症
 ・目の眼圧が高くなってしまう緑内障

 しかも、薬を使えばこれらの病気が治るかといったらそうではありません。どれもぜんぶ一時的に症状を抑えてくれるに過ぎません。

 ものもらいは、自分の抵抗力がしっかりしていれば、多少の菌が目に入ったとしても、菌が繁殖することはありません。
 目の乾燥やドライアイは目薬を指しても、指したその時だけ目が潤いますが、一時しのぎに過ぎません。
 目の痒みや炎症も目薬を使えば、一時的に治まりますが、痒みや炎症の根本原因を改善してはくれません。
 緑内障は、眼圧が高くなる病気ですが、なぜ眼圧が高くなったかを考えずに、目薬だけで眼圧を下げても意味がありません。

 なんとも頼りなくないですか?
 何時間も待って診察してもらい、窓口で何千円も払って、高い保険料を毎月納めて、受けられる治療がこの程度なのです。

 保険の適用内で眼科さんの出来ることは基本的に上記の4つだけです。
 この4つの治療や薬が自分に必要かどうかきちんと判断してください。

 こういう情報はあまり外に出てきませんが、みなさんにはきちんと知ってもらって、それでも必要と思う場合だけ、眼科さんにかかることをお勧めします。

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