薬で病気は治らない…その①

  • 2017年10月20日

 調剤薬局で働いていた時のこと。
 一緒に働いていたある薬剤師さんがガチャ目で悩んでいて、一度処方せんを出してもらっている眼科に見てもらうんだと言っていました。
 この薬剤師さんをOさん、眼科をR眼科としましょう。

 ガチャ目とは、右の視力と左の視力が極端に違うことを言います。
 ものが見えづらいそうです。

 そしてOさんは、休みの日に混んでいるR眼科に行きました。
 何時間も待って診察してもらい、眼に傷があるとのことで、抗生剤の目薬と、傷を保護するヒアレインという目薬を処方してもらったのでした。

 後日、Oさんは「もうR眼科には行かない。抗生剤とヒアレインなんかいらない」とおっしゃっていました。そして、他の眼科に診てもらうと言っていました。
 いったいOさんは何を望んでいるのでしょう?
 ガチャ目を診てもらうと言っていましたが、左右の違う視力を治したいということでしょうか?
 詳しい眼の検査をしたいということでしょうか?

 眼の検査をしても、眼に菌がいるか、傷があるか、眼圧は正常かどうかくらいしか分かりません。
 検査といっても眼の病気かどうかの判定をしているに過ぎないのです。

 他の眼科にかかったところで、同じように抗生剤の目薬とヒアレインが出ておしまいです。
 この薬剤師のOさんは、毎日眼科の処方せんを調剤し、眼科で使われてる薬もほぼ分かっています。でも、自分が望んでいることは、今の眼科では簡単に解決出来ないことを分かっていないのです。

 薬剤師さんでさえこうなのですから、一般の人々はもっと分かってないはずです。
 みなさんは、何かあればすぐに病院に行きますが、その病院で出来ること、やってくれることは何かをきちんと知っておくことはとても大切です。

 基本的に病院でやっていることは、二つしかありません。
 一つは、検査をして病気かどうかを調べること。
 そして、病気であるならば、そのための薬を出すこと、または手術などの処置をすること。

 この二つで、今のあなたの悩みが本当に解決するのかどうかをきちんと考えましょう。

 ガチャ目は病気ではないので、薬はありません。
 また、視力を回復するには、レーシック手術などがありますが、普通の眼科に行っても保険適用の範囲では何も出来ないということです。

 次回から現在の医療現場で行われている治療を、漢方薬剤師の視点で、もう少し深いお話しをしたいと思います。

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